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吉田はじめ 試聴室

吉田はじめ君を初めて見たのは、僕の日記では2005年10月26日というからもう、4年も前のことになる。江古田マーキーでの水谷さんのライブの対バンだった。マーキーの新人というとまぁ、これは言っちゃなんだけど酷いものが多くて、この日も全然期待してなかったんだ。

見かけによらない甘ったるい歌声。ぼけっと聞いていたんだけど「自分は他人」の突き刺さる言葉に、まさにヤラれてしまった。壮絶なまでの自虐的な歌詞は普通の人が歌ったらキツくなりすぎてしまうところ。それとは反対に思わずニヤリとしてしまう「ごあいさつ」。カノジョのご両親の前でカチカチになった吉田君を想像してしまって楽しい。その時は客席に高田彰も居たのだけれど、一同「吉田はじめ」って何者だ?と盛り上がってしまった。

その後1年半ほどの間に、僕の周りの人間はみんな吉田君のファンになってしまった。でもライブがハネるとすぐ帰ってしまう吉田君に関しての謎は深まるばかり。ついに高田彰の対バンとなった日に、吉田君を打ち上げに誘うことに成功。自宅はなんと鎌倉と遠く、長居はできなかったのだ。歌の完成度に比べてライブ活動歴は浅く、まだ数年だという。もちろん活動も江古田マーキーだけだと言う。

マーキーの観客といえばまぁ、多くても10~20人程度だからせっかくの吉田君の歌を埋もれさせるのはもったいなさ過ぎる。というわけで音源をネット上で公開することにしました。吉田ワールドを堪能してみてください。

(2009年6月:三浦廣之)

ごあいさつ

「ごあいさつ」を試聴する

何て言えばいいのかな? となりの君にたずねてみれば
ニヤけた顔して覚悟を決めなと からかう君だって怖いだろう
どこの馬の骨とも解らぬ男さ 手ぐすねひいて待ってるだろう
それでも行こう 君のお家まで
初めてパパとママへの ごあいさつ

8月の暑さのせいじゃない ボヤけた頭のせいじゃない
出されたお茶のティーカップから 指がぬけなくなったり
質問に対して全く理解できずに頭真っ白で
僕をからかうようにネコちゃんだけが のんびりふらーり
うちの娘のどこがいいですか?ってママがたずねた時に
なぜだか僕は胸が熱くなり
君を自慢したくなって

気持ちのきれいな娘ですよって答えた
瞳のきれいな娘ですよって答えた
その時君を愛してると気づいた。


自分は他人

「自分は他人」を試聴する

よごれてる気分を晴らすために やっぱりお出かけですか?
あきらめるずるさ身につけて ラクチン至上主義者
やりたいことも無いとうそぶいて ふぬけな野郎さ
へつらってた笑顔枯れはてて 元に戻らなくなってる

指をくわえれば 見送ることにもほら慣れて
みじめさもかみしめたでしょう
他人事のような 本当は自分だろう

灯台元暮らしな自分みたいで こんなに良く分かってる
そむけたくなるような現実を 本当は良く分かってる

こんなものだろうと たかをくくった考えは
飛び越えられないでしょう
絵空事のような 本当は自分だろう

その道行こうか行くまいか 悩んで決める前に
ぶざまな意気地なしは自分なんだと そこから認めるんだ

志の高い丘 見て見ぬふりをして
むなしさもかみしめたでしょう
指をくわえれば 見送ることにはもう飽きて
みじめさも枯れ果てたでしょう

他人事のような 本当は自分だろう
絵空事のような 本当は自分だろう


みつばち

「みつばち」を試聴する

甘い香りが僕を呼ぶ かわいく派手な花が咲く
誘い出す時いつだって 息をのむよな てれ笑い
たどり着ければそれまで 君の胸に届くまで
うるさくほら みつばちよ なりふりかまわず
チクリとハート 目がけて行け

ほのかに香る 君のつややかな ほほえみで そっと抱きしめて
二人で遊ぶ うたかたの夢を見る
君とデートしたいんだ

輝くときめきがあれば わき目もふらずストレート
愛のバイブル役立たず 感覚ひとつとぎすまし
思い込むだけ一途なら 成し遂げるまで追いかけて
しつこくほら みつばちよ 当たってくだける 心意気高く 飛んでゆけ

ほのかに香る 君のつややかな キラメキをそっとつかまえたい
はかなくゆれる うたかたの夢を見る
君とデートできるまで

甘い香りが僕を呼ぶ。。。。


決意の時

「決意の時」を試聴する

幼い頃の君が写った古い写真を いつか見せてもらった時
パパとママと妹とニカっと笑ってるヤンチャくれな君の姿 そこにあった

ちょっと器量良しだねとは言えなかったけど 面影探して
想いはせればあいくるしく それまで家族に見守られ
大いなる愛にはぐぐまれて 育てられた大事な人なのだと知った

思い出という場面 追憶に花を咲かせ 鮮やかによみがえる程に
これから始まる未来への道のりの途上に おしみなく精一杯愛情込めるんだ

僕らのりんかくふちどって 人生に花が咲き乱れて この世界
美しいと思えるまで 喜びの背中いつだって追いかける
ココロ 失くさないで 新しいこの人生を共に歩いてゆこう

脈々と流れる僕らの血潮の中に 注いでもらったいくつもの
やさしい真心たち
これから始まる未来への道のりの途上で 感謝の気持ちいっぱい愛情示すんだ

僕らのりんかくふちどって 人生に花が咲き乱れて この世界
美しいと思えるまで 悲しみのとなり よりそって慈しむ
ココロ 失くさないで 新しいこの人生を共に歩いてゆこう

喜びの背中 幸せ追い求めて ココロ 失くさないで
すばらしいこの人生を君と歩いてゆこう
すばらしいこの人生を君と添い遂げるために。。。


大人の顔

「大人の顔」を試聴する

おもむろ口調なニュースキャスター 深刻な面もちで今日も
ぶっそうな世の中と決めゼリフ もっとデカイ見出しの特ダネが欲しいくせして
いそがしいふりの空虚な日々と すさんだ気持ちのぬぐえない姿
みっとないと思っていたんだ ほら見ろ そんな大人に今近いだろう

感情的にならないでいなしたつもりが 相手のためにならずに
うわっつらだけの浅いふところが あばかれて
何も解っちゃいないと気づく時がある

あなたの姿 まぶたに浮かべ 奥ゆかしさを感じるたびに
ゆらめく時の流れにだまされて 人恋しさ枯れないように願う

ささいな事にまどわされまいと 知らばっくれた顔で佇む姿
口先だけでペラペラうまくしゃべる時 どこかで聞いたようなゴタクを並べたててる

感情的にならないでいなした思いに ちゃんと目を合わせる時
うわっつらだけの浅はかなものにとらわれて
何も感じちゃいないと気づく時がある

あなたの姿 まぶたに浮かべ ほほえましさに笑えるように
ゆらめく時の流れにあおられて 人恋しさ枯れないように願う

人恋しさ捨てないように願う


そんな気持ち

「そんな気持ち」を試聴する

僕の好きだったあの古い建物は もうじきとりこわされて
新しいビルディングになる
今よりずっと世界が広く思えた頃
そんなに便利じゃなくても 心豊かだったという

愛情深く 深く 愛情
満たされた世代のどまん中で 壊された歴史を悼むような
そんな気持ち

ぼんやりながめて見てみた 遠い日のフォトグラフ
おんぼろ やけたギターのあたたかい音がする
愛着なんてわくはずもない 即席プレハブ住宅や
チープでプラスチッキーな使い捨て自動車に

愛情深く 深く 愛情
くたびれた世代のどまん中で 行き着いた時代を憂うような
そんな気持ち

買い物かご下げながら よぼよぼおばあさん
手をつないでまだ歩いてた 小さくなったじいさんと

愛情深く 深く 愛情
年老いた二人を見送りながら
くたびれた世代のど真ん中で 壊された歴史を悼むような
そんな気持ち

僕の好きだったあの古い建物は もうじきとりこわされて
新しいビルディングになる

味気ないビルディングになる。。。


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